カナダへの研修旅行の様子をおとどけします
平成13年度教職員派遣研修・短期派遣・三重県団・第242団
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10月23日(火) 研修6日目  小学校と一般教育学校訪問(ハル市) :小雨

  • 午前の部

    サン・レダントゥール小学校訪問
    ECOLE DU St-REDEMPTEUR
    ハル市

  • 午後の部

    ラ・ジェネラシオン一般教育学校訪問
    CENTRE LA GENERATION
    ハル市


 CENTRE LA GENERATION にて

サン・レダントゥール小学校訪問
L'ECOLE PRIMAIRE ST-REDEMPTEUR

朝7時、まだ真っ暗闇である。 バスでホテルを出発して、しばらく住宅地の中をゆくと、 もう学校が見えてくる。かすかに明るくなっているが、まだまだ「夜」である。 (ちなみに、日の出7時30分、日の入り18時です) こんな時間に、こんなひっそりした校舎に生徒はいるのだろうかと 思いながらバスを降りる。7時13分である。玄関を入り地下に降りるとトーストの芳ばしい香。 しかし廊下に人はいない。部屋での簡単な挨拶が済み廊下へ出ると、生徒が数人。 食堂へ入ると大勢の生徒がいる。ここでかわいい生徒達と一緒に朝食をとる。
上の写真は、団長からクロード・ゴードロー校長先生(Me.CLAUDE GAUDREAULT)へ 日本の生徒の書いた作品をプレゼントしているところです。 右の写真の男性は教育委員会のウッド氏(M.MICHEL HOUDE)で、今回の訪問をコーディネイトしてくださり、 毎日我々に同行していただいています。

この小学校での朝食サービスは、 ノンプロフィット団体 LE CLUB DES PETITS DEJEUNERS DU QUEBEC が中心に行っており、この団体は通称「クラブ」と呼ばれていた。 GAUDREAULT校長先生の両側の方が、この団体の方です。この運動は7年前から始まり、 この地域では4年前から始まったそうです。 ケベック州の65の小学校がこのサービスを受けており、全カナダで注目されていて、 モデルケースとなっている。来年までに全カナダで165校に広げたいそうです。 以前に、政府が主導した朝食運動(補足参照)があったのですが、 いろいろ融通の利かないこと(どこの役所も一緒だ)、貧しい子達だけを対象にしたこと、 などで、結局続かなかったそうです。今の運動は、30セント(約24円)払えば、 誰でもこのサービスを受けられると言うことで、貧しい家庭の子供も、豊かな家庭の子供も 並んで楽しそうに食事をしていました。
補足:1991年ケベック州政府が始める

今ではこの「クラブ」の活動へ、一校につき5000ドル(約40万円)が州政府より補助されている。
1991年からの政府の政策と違って、「クラブ」は社会福祉運動をしているのではなくて ”クラブとして、みんなで朝食をとろう”という考えなので、そこが 保護者達に支持され、広がってきた理由である。

「クラブ」の方以外に、保護者はもちろん、生徒も、 受付をしたり、サービスをしたりしていました。
暖かいトースト、暖かい卵料理、パン、ジャム、デザート、牛乳、ジュースが 並び、好きな物をとって、食べます。この「暖かい」というところが、「誰でも」と並び この運動の大きなポイントのようです。なお、ヨーグルト、パンはこの地域の会社の寄付だそうです。


この学校では90人が、7時30から15分程度朝食をとります。 たまたま話しかけた生徒は、毎朝ここで食べている子、三食とも毎日食べている子 ばかりでした。


左の写真、左より教育長のMe.LUCIE LAFLEUR氏、 教育委員会会長のM.JOCELYN BLONDIN氏 ちなみに会長は 日本で言う教育委員長のような存在(しかしより実体として活動していて、決定に関わっている)。 右の写真の女性は、教育委員会部長のMe.SUZANNE LAROCQUE氏

デジタルカメラは、とった後すぐに液晶ディスプレーで見れるので おもしろいらしく、生徒に取り上げられてしまった。 生徒のアングルだと、わたしはこんなふうにみえるのか? 他の2枚も生徒がとりました。
なぜかジャッキー・チェンに会ったことがあるかと、 大勢の子にしつこく聞かれました。アチョーッ!!

この地区は特に貧しい家庭の子が多いそうです。 カナダへ移住してきた人々がまずここへ住み、 移住者の出発点のような地域となっているようです。 この学校でも20ヶ国からの移住者の子供が通っています。 そのため、ここで稼いで他地区へ移ることも多く、 生徒の異動も多いようです。

体育館へはいると、4歳から10歳までの生徒全員が待っていてくれました。

手を挙げているのはフランス語以外をしゃべれる生徒です。 (英語については小学校入学時ではほとんどしゃべれない) 右の写真は、2年生の生徒による歌での歓迎です。 最後にもう一度数小節をスペイン語のアクセントで歌っていました。


5歳児。ハロウィンの飾りを作っていた。右は絵をプレゼントされお返しに折り紙を。
一年生。言葉の勉強。



とけ込めない子、精神的に問題のある子達の補習授業


写真は3年生のコンピュータの授業。1000から1100までの数の数え方と 同時に、キーボードの撃ち方の練習。結果はプリントアウトしておうちへ。
右は音楽の授業。

教室は、担任の先生の名前が示されている。
赤いチョッキは、交通安全係生徒。


ラ・ジェネラシオン一般教育学校訪問
CENTRE LA GENERATION


11:50着。生徒の食堂で昼食をごちそうになりました。 その後ここでミーティング。





リズ・トゥシェット校長先生(Me.LISE TOUCHETTE)へ持参した生徒の作品を渡しました。

この「センター」は、16才から21才までの生徒が対象で、 中学校を経済的理由や、社会的理由などで中途退学した子供達が 中学卒業資格を得るために通います。中学4・5年の段階の学習をする生徒が主流です。 6月から8月にかけて書類審査をし、面接を経て約100人が入学します。
ここで中学卒業に必要な単位を取った者は、ストレートで中学を卒業した者と同様に ケベック州政府管轄の高校へ2年間通い、その後大学へ進むことになります。
また、中学校は卒業していても、進みたい大学へ入学するのに必要な 単位(例えば数学など)を習得していない子供も、入学してきます。 日本で言えば、文系で卒業した者が必要な理科数学の単位だけここでとって、 大学は理系へ行くといった感じでしょうか?
やはりうまくいかずに、職業学校(センター)へ転校して社会に出る子供もいます。

時間割を作る専門スタッフがいて、生徒と相談しながらカリキュラムを決め、 毎週金曜日に翌週の時間割の修正をしています。一クラス平均30人、 生徒によって必要な単位がそれぞれ異なるため、授業の運用は非常に難しいとのこと。 1単位25時間です。また、午前だけのコースもあり、働きながら通学することが可能です。 出席簿は州政府へ提出の義務があり、 生徒は5日間連続で欠席すると退学となります。

コンピュータ室は先生の昼休みの時間1時間を自由に解放している。 また、一斉授業でコンピュータを教えることはしていない。それぞれの教科で 問題の解決のために適宜使っているとのこと。

校舎の壁には生徒の書いた絵がいたるところにあります。自分たちで学校を飾る、創る、 という指導が、壁の落書きを一掃したそうです。
また、生徒の課外活動に対しては、学習時間を削らないようにしながら 自発的な活動を支える指導をし、欠席の防止や、学校へつなぎ止めておく 効果をねらっているようです。7つの委員会があり、生徒にモチベーションを与え、 素晴らしい学校生活を送れるようにしています。 話題を決めて話し合いをする「集会」、毎月の「学校誌発行」、「スポーツ」 「ヨガなどで豊かな生活」「パーティ」「デコレーション」などへ自発的に参加しています。

なぜだか先生の横に座らされて、みんなの方を向いて授業を受けていたこの生徒と、 我が団長が授業中に意気投合してしまったの場面です。

校長先生が各クラスで生徒に気軽に声をかけ、 生徒もごく普通に応対しているのが印象的でした。

M.JEAN LABBE先生。数学と物理の先生。変わり者だよと横から声がしたが、 なぜか私と気が合いそう!? 右の写真の一番右は生徒
数学と英語がやはり重視されているようです。
生徒は試験専用の教室へ何も持たずに入って 試験を受けます(前日の職業学校もそうでした)。3回チャンスがあるそうです。その前にシミュレーションテストをして、 単位が取れそうと判断されてからこの本試験に臨みます

2年前に学生のフォローアップ部門を新設し、欠席がちになってきた生徒を早く見つけだし、 個別に対応し、担任に引き継ぐという体制をとっています。 この年代の子は大人になりきっていない不安定さを持っているからとコメントしていました。
写真は職員室でのスナップです。

玄関を入ってすぐの壁に「デコレーション」チームが2ヶ月に1回アートをほどこします。 そこには成績優秀者の名前も貼り付けます。
最初たてたプログラム(カリキュラム)通りに学習が進み、4回試験に合格すると 教科書が無料でもらえる。
成績優秀者には映画のチケットをあげる。
300人の生徒のうち200人は問題ないが、80人から100人の生徒は毎週のケアが必要で、 モチベーションを与えるために、上記のようなこともしているそうです。
また、別の場面では「モチベーションを与えるのは難しい。 子供には3ヶ月でも大きな長さである。短期間の目標を設定してあげ、 達成させて、満足感を味わわせる。その連続が必要」とのコメントもいただきました。
また、ハル市には16才から20才までの母親が、(母子家庭)200人もいて、 学校の近くに保育所がまもなく複数でき、教育の機会を増やし、悪い連鎖を断ち切るのだという話も聞きました。
また、8人の生徒が共同炊事運動を始め、当初は2食で5ドル(約400円)だったのですが 今は2ドルで、週1日、3週間一区切りで活動しているようです。 また、5年前より校長先生が始めた朝8時30分までの無料朝食サービス(トースト・ピーナッツバター・飲み物) も続いているそうです。


夜はもちろんプライベートタイム。
今日は雨が降っていたので、ホテルのレストランで サーモン料理を食べました。

勢力先生の研修報告のページ
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